当研究室では様々な金属錯体を触媒とした新しい有機合成反応の開発と立体化学の制御を行っています.特に最近では以下のような研究を行って報告しています.

1.遷移金属触媒アリル位置換反応における立体化学の制御

遷移金属触媒反応において,これまでに無い様々な立体化学の制御を研究しています.例えば,「パラジウム触媒による位置およびジアステレオ選択的な反応」や,「ルテニウム触媒による位置選択的反応」を実現しています.また,そこで開発した反応の幾つかを生物活性物質の合成などへと展開しています.

2.「鉄」触媒反応の開発

近年,安価で低毒性かつ環境に優しいとされる「鉄」を触媒とした有機合成反応の開発が活発に行われています.我々の研究室においても,「鉄」を触媒とした反応開発を行っており,例えば「エナンチオ選択的なチオール類のマイケル付加反応」「不斉ナザロフ環化反応」の実現に成功しています.

3.含フッ素化合物の遷移金属触媒反応に関する研究

フッ素原子を有する有機化合物は医薬品や機能材料として重要であり,その重要性は今後ますます大きくなる事が予想されます.しかし,既存の遷移金属触媒反応は含フッ素化合物に対して通常とは異なる反応性や立体選択性を示す場合が少なくありません.そこで我々の研究室では含フッ素化合物に対する遷移金属触媒反応の開発と検討を行い,例えば「含CF3アリルエステルのPd触媒位置選択的アリル位アミノ化反応」「ルテニウム触媒による含CF3内部アルキンの三量化反応」などを報告しています.

4.その他

上記以外にも、我々の研究室では「有機合成」,「金属触媒」,「立体選択性」の3つを柱として,様々な反応の開発と制御を研究しています.また,実用的な有機合成反応の開発を目指して企業との共同研究も実施しています.

研究内容

参考: 過去の卒業論文修士論文タイトル